「祖父」

●亡くなった祖父のこと。

20年以上前、祖父が亡くなった。

私の誕生日に。

私は「ああー守ってくれたんだ」と今でも思っている。

ところが凄く仲が良くて一緒に遊んだなどの記憶はない。

では、何故、そう思ったのか・・・。

少し長くなるが・・・。

祖父は近くの病院に入院していた。

病気というより、年齢的なことだったと記憶している。

私はその頃(20歳くらい)から散歩が好きだったので、ついでにお見舞い・・・というか、顔を出していた。

特に会話のネタもなく、「じいちゃん、元気かい?」など挨拶する程度。

そうこうするうちに私も入院することになってしまった。

同じ病室に。

熱が出て薬で下がってもすぐに40℃くらいの熱が出ての繰り返し。

2日位、病院に通ったが結局、入院することになった。

私は酷い風邪と勝手に思っていたが、後で聞いたら「敗血症」と言う病気で結構、危険らしい。

・・・マジかよ。

そんなことを知らない私は退院するとこれまた近くの歯医者に通っていた。

美人の助手さんがいたから・・・おっとっと、虫歯の治療で。

で、通り道なので歯医者の帰りには祖父に挨拶をしていた。

「じいちゃん、元気かい?」と。

ただの挨拶と何の土産話もない少しの会話。

ちょっと、記憶が曖昧でどれくらいの期間か分からないがそんな生活をしていた。

だんだんと祖父の体調が悪くなり、そろそろ危ないかもしれないと連絡があった。

その晩(亡くなる前日)、近くの祖父の家に泊まりに行った。

何かあったらすぐに病院に行けるようにと。

私は「遅くまで起きている」という理由からか、何故かプレイステーションと「ポリスノーツ」を持って行った。

確か、明け方だったと思うが病院から電話があった。

病院に着いた時には祖父は亡くなっていた。

詳しいことはわからないけど、年齢的なことも関係あっただろう(確か98歳だったと思う)。

それから祖父を自宅に運び寝室に寝かせた。

夜、私は母親と一緒に祖父を見ていた。

母親は泣きながら祖父に「ありがとう」とお礼を言い「○○(私)の病気も持って行ってね」と言っていたのを覚えている(私はパニック障害があったため)。

その時、私は何故か「そうだ!ギターを聴かせよう」と思いつき夜中(確か午前1時とか2時とか)に自分の自宅に戻りギターを持ってきて寝ている祖父の横でジャカジャカ、ギターを弾いていた。

ロックを。

祖父の年齢を考えると「ロックなんて、良く考えても不良の音楽」だったのではないか・・・と思う。

ひょっとしたら、知らないかも知れない。

夜が明けて、親戚が集まっている時、私は玄関先で兄弟に小声でひっそりと呟いた・・・。

「昨日、俺の誕生日なんだよね」・・・と。

そんな、孫にロックを聴かされた祖父は、祖母と一緒に近くのお寺に眠っている。

そんな思いがあるので、私は気ままに、祖父と祖母がいるお寺に行く。

週に、2,3回行く時もあれば3か月くらい行かない時もある。

気ままな孫よ、どこに行く?。

冬が本格化し雪が積もるとしばらく行けなくなるので先日、挨拶に行った。

「いつも、皆のこと見守ってくれてありがとう」・・・と。